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Mar 02, 2018

Startup Hub Tokyo様主催のイベントに弊社CEO・森川が登壇いたしました!

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GincoMagazine編集部
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StartHubTokyo様主催のイベントに弊社CEO・森川が登壇いたしました!

先日、TOKYO創業ステーション1F・Startup Hub Tokyoにて開催されたイベント、起業家のためのブロックチェーン・スクール#02「ブロックチェーンでチェアリングエコノミーはどう変わるか?」に弊社CEOの森川が登壇いたしました。

*前回のイベントの詳細はこちらの記事をご覧ください
第一回イベント

イベントのタイムテーブルは以下の通りです。

19:00 – 19:10 はじめに
19:10 – 19:50 講義
19:50 – 20:20 ワークショップ
20:20 – 20:40 ワークショップに対する講評と解説
20:40 – 21:00 Q&A

前回に引き続き、多くの方が参加されていました。

今回の記事でもその様子を詳細にレポートしたいと思います!

講義 『ブロックチェーンでシェアリングエコノミーはどう変わるか』

講義では、前回のおさらい「ブロックチェーンとは何か」から始まり、「シェアリングエコノミーとブロックチェーンの親和性」について解説していきます。

以下では、森川の講義内容から要点を抜き出して紹介します。

ブロックチェーンとは:前回のおさらい

まずは、前回のおさらいとして「ブロックチェーンとは何か」を解説していきましょう。

前回、参加された方ならお分かりだと思いますが、ブロックチェーンはビットコインなどの仮想通貨を成立させている技術や仕組みの総称です。

ゲーム内通貨やsuicaなどの電子マネーとは違って、仮想通貨をトラストレスな価値交換手段として成り立たせている技術や仕組みのことですね。

ブロックチェーンには「ネットワークに参加している人であれば誰でもアクセスできる」「一度ブロックチェーンに書き込まれたデータは、改ざんすることが非常に難しい」という2つの特徴があることを前回ご紹介しました。

どういった仕組みでこの特徴を実現しているのか、という点に関しては説明済みなので、今回は「このブロックチェーンを使うことで何ができるようになるのか」について話していきます。

(森川の講義内容より抜粋)

※詳細はこちらの記事をご覧ください
ブロックチェーンとは

シェアリングエコノミーとは:物・サービス・場所などを、多くの人と共有する仕組み

ここからは「ブロックチェーンを使うことで何ができるようになるのか」について、シェアリングエコノミーという領域を例にお話します。

みなさんご存知と思いますが「シェアリングエコノミー」は、物・サービス・場所などを多くの人と共有・交換して利用する経済の在り方・考え方です。

最近は少しずつ「モノを一人ひとりがそれぞれに所有する」という考え方ではなく「みんながシェアすることによって経済効果を最適化する」という考え方が広まりつつありますよね。

特にシェアハウス、シェアカーなどはよく耳にする言葉になったのではないでしょうか。

これらの領域のサービスをC2Cサービスと呼んだりします。

2017年のデータではありますが、世界的に有名なUberは約680億ドル、Airbnbは約300億ドルもの時価総額となっています。このビジネス領域は2013年から2025年には20倍以上の市場規模になると言われています(2013年の市場規模が150億ドル、2025年の市場規模は3350億ドルと予想される)。

昨今では、東南アジアのライドシェアサービスに投資が集まるなど、世界中でどんどん新しいサービスが生まれています。

(森川の講義内容より抜粋)

C2Cサービス事業者が提供する価値とは:マッチング機能・仲介機能・信用の可視化機能

では、こういったC2Cの事業者は具体的にどのような機能をユーザーに提供しているのでしょうか。中心となるものを以下で3つあげてみました。
・ユーザー間のマッチング
・エスクロー取引の実行
・ユーザーの信用の可視化

C2Cサービス事業者は、こうした機能を提供するプラットフォーマーとして事業を拡大していきます。

当然のことですが、こうしたプラットフォーマーは利益を求める事業会社です。そのため、彼らは自分たちの利益を上記の3つの機能のどこかで発生させなければなりません。

ほとんどのC2Cサービス事業者はエスクロー取引の手数料で、自社の収益を生んでいます。このポイントで自分たちの利益分を上乗せするのが現状最も無理がないのですが、C2Cで取引をしたいユーザーにとってベストとは言い難い部分があります。

このような実情ゆえに、既存のC2Cサービスは実態としてはC2B2Cモデルだ、と表現されることもありますね。

(森川の講義内容より抜粋)

仲介手数料が高くなる3つの課題:「エスクロー」・「送金の仲介」・「プラットフォーム上での不正対策」

通常、C2Cのサービスで決済をする際にはクレジットカードやデビットカードが使われます。このとき、プラットフォーマーはカード会社に対して決済手数料を支払って、ユーザーにカード支払いサービスを提供しています。

となると、ユーザーに課される仲介手数料は最低でも「エスクロー手数料+決済サービス利用手数料」として設定されることになります。

その上さらに、サービスの提供エリアが国境を超える場合は国際送金のハードルが発生します。

C2Cサービスは世界的に有名な企業が多いのですが、こうしたいくつもの「中間コスト」が新しい国に進出する際の参入障壁になってしまいます。

誤解を招かないように補足しておきたいのですが、ここまで紹介してきた中間コストはサービスの提供者にとって「どうしても発生してしまうコスト」だということです。

同様の「どうしても発生してしまうコスト」として、不正利用を防ぎプラットフォームを健全に運営する負担もあります。ユーザー間の紛争に介入したり、不正利用を監視するといった業務ですね。

最近では、とあるアプリで現金を出品されていることが話題になっていましたが、こうした「法的に不正なプラットフォーム利用」をどう弾くかが議題になってきます。

もちろんAIで弾くことも検討されていたりするのですが、現状は目視確認を行っている場合が多いそうです。となると、ここに人件費が発生してしまいますよね。

こうして発生するプラットフォーム健全化のコストもまた、取引の仲介手数料に上乗せされてしまうのです。

(森川の講義内容より抜粋)

講演の様子

スマートコントラクトとは:ブロックチェーン上で機能するプログラミングコード

さて、先述した3つの論点「エスクロー」「送金の仲介」「プラットフォーム上での不正対策」は、それぞれブロックチェーンで解決しうる問題だと言われています。

特に、スマートコントラクトという発明が大きく貢献しているのですが、まずはこの技術について簡単にご紹介します。

スマートコントラクトとはブロックチェーン上で機能するプログラミングコードだと思ってください。

オープンソースなので、どのような処理をするのか、どのように処理されたのかを、世界中の誰でも確認することができます。

先ほどのエスクロー取引の場合、取引を行う両者の間に仲介会社が入り、荷物の配送やお金の支払といった内部処理を行なっていました。スマートコントラクトを用いれば、ブロックチェーン上にあるコードが自動的に処理を行なってくれます。そして、そのシステム維持に中央管理者は必要ありません。

また、「送金の仲介者のためのコスト」「プラットフォーム健全化のためのコスト」についても、ブロックチェーンそのものがもっている「P2P送金」「改ざん耐性」という特徴で削減することができます。

このような形で、現在のC2Cビジネスが抱えている課題を解決しうるのではないか、というのが現在ブロックチェーンに寄せられている期待なのです。

(森川の講義内容より抜粋)

※スマートコントラクトについての詳細はこちらの記事をご覧ください
スマートコントラクト

ディスカッション:ブロックチェーンでシェアリングエコノミーはどう変わるか

森川からの講義が一段落したところで、テーブルごとのディスカッションワークショップが行われました。

スマートコントラクトという技術についてだけでなく、人と人との信頼関係をどう担保するのか、といった議論まで行われていたのが印象に残っています。

議論の様子

発表

「ブロックチェーンという技術はIDといったものを必要としていない技術なので、利用者と取引をどうやって紐づけるのかが課題となるだろう」

「取引には必ず手作業(包装や発送)が必要になっており、そこまでをスマートコントラクトで追うことはできない。ならば、どのようにして取引担保を行うのか。一つの案としてユーザーが仮想通貨でデポジットを積み立て、取引を行う際に保険のような機能としてデポジットから通貨を引かれる。取引が履行されたと確認が取れれば引かれていた通貨が帰ってくるような仕組みがあれば、うまく機能するのではないか」

「管理者を完全に排除した取引環境を作るなら、取引に必要な確認作業をいかに自動化していくかがポイントになる。荷物にGPSをつけて発着を確認したり、IoTのテクノロジーを用いたりして減らしていけるのではないか」

「ブロックチェーンを用いて、プラットフォーマーの権益が交代していくことは確かに望ましいが、誰がP2Pのネットワークを支えていくのか。データマイニングを行う人が減っていけば、確実に取引は遅くなってくるはず」

森川からのフィードバック

これらの意見を受け、登壇者からは以下のフィードバックを行っています。

フィードバック

「シェアリングエコノミーにブロックチェーンを活用する」というテーマで議論が起こるのが、「仮想通貨を使うよりも法定通貨を使う方が便利なのではないか」という点です。

先ほどの発表にもあったのですが、仮想通貨ってボラティリティが高いですよね。一晩で価値が10分の1になってしまったりということが起きたりします。そうなると、適正なプライシングができなくなってしまう問題が起こります。

あとは、こちらも議論に上がっていましたが、オフライン情報をどのようにしてブロックチェーンに取り入れるかです。IDなど、個人を紐づけるかという話ですね。 個人的には、これが一番重い話だと思っています。

このトピックを触れるために押さえておきたい用語が「スマートオラクル」です。スマートオラクルとは、現実世界の動向をブロックチェーンに組み込むことを総称して読んだりします。

この話題になると、触れるべきなのは、AugurやGnosisといった予測市場のプロジェクトですね。予測市場というのは、天気予報の予測に賭けが発生するようなギャンブリングだったりしますが、例えば明日の天気が晴れだったとして、その事実を誰が判断してブロックチェーンに埋め込むのでしょうか。予測市場と呼ばれるプロジェクトの課題は、本質的に見るとスマートオラクルの実現と言えるでしょう。

実はこのスマートオラクルに関するプロジェクトもたくさん生まれています。例えば、IoTデバイスから得た生体情報とコントラクトアドレスをブロックチェーン上で紐付ける施策があって、パスポートを手作業で確認したものを個人情報として埋め込み、コントラクトアドレスと紐づけたりしています。中長期的にはスマートオラクルは実現されるでしょうとみられています。

基本的にオフライン情報をブロックチェーンに埋め込む方法は2通りしかありません。

すごく正確に個人情報を埋め込むか、個人に対してインセンティブ、ないしはペナルティを与えて行動を抑制する方法です。

先ほど発表していただいたデポジットによる手法は後者だと思いますが、これは結構効果あるのではないかと思っています。実際にデポジットの仕組みを用いているプロジェクトもあります。ただ、難しいのが、信頼を仕組みや技術で担保しようとするほど、複雑になってしまうということです。

人を信頼するということは、プロセスを簡略化する側面を持っているといえます。全てを技術で解決しようとするのは難しいと言えます。やはり、現実世界で起こるやりとりのほとんどは人対人なので。

現実な着地点として、ひとまずエスクローなどの領域からブロックチェーンが利用され始めるはずです。

システム体制を整えるのに結構費用がかかるところを、業務改善としてブロックチェーンが使われるようになる。こうなるとC2Cプラットフォームビジネスの参入障壁が減るのでプレイヤーが増えます。そうなると価格競争が生まれて、寡占状態だった市場が変わるかもしれません。

市場が健全化されることで、より精度の高いマッチング機能や、ユーザビリティの高いサービスが提供されるようになるといいですね。

(森川の講義内容より抜粋)

質疑応答

その後、参加者の皆様からご質問に森川がお答えしました。

本質的な質問が多く、参加された皆様のリテラシーの高さが伺い知れます。

Q:スマートコントラクトのバグがあった場合の対策はあるのか?

それは現状どうにもならないので、バグがあったものは使わず、新しいコントラクトアドレスを使うという方法しかありません。

ただ、スマートコントラクトを記述するsolidityという言語が改良されるという話もあるので、何かしらの対処ができるようになるかもしれません。

Q:銀行や国家などの中央管理型の主体がブロックチェーンという分散型のシステムを管理した場合、どのようなメリットがあるのか?

今普及しているブロックチェーンは、参加しているユーザーの合意がなされたものだけが機能として追加されていく投票形式なので、結構手間がかかっています。

そのため、特定の分野や責任範囲のもとで優れたシステムをスピーディに構築していくようなケースでは中央管理型のブロックチェーンが効果的でしょう。

あとは情報の秘匿性の確保ができるという点でしょう。現在主流のブロックチェーンはオープンソースのものがほとんどなので、誰がどれくらい持っているかが見えてしまったりします。

なのでプライベートチェーン上で管理を行えれば、管理している側にしか情報が見えなくなったりします。

こうした点が、中央管理型の運営主体がブロックチェーンを導入する際のメリットと言えるでしょう。

Q:悪いユーザーが、いろんなサービスでアカウントを使いまわした場合の対処法はあるのか?

匿名でいくつもアカウントを利用する弊害に対処する方法としてKYC(Know your customer)があります。

これをブロックチェーン上で共有することで、他のサービスを利用する際にもKYCをしたことにするという取り組みがあります。

ただ、ここで問題になるのが「KYCを取得する企業」と「誰かが取得したKYCを利用する企業」との合意です。というのも、KYCの取得にはコストがかかります。

100万ユーザー数を抱えるプラットフォームと1000ユーザーしかいないプラットフォーム間で同じようにKYCを共有するなら、前者の方が圧倒的にコストを多く支払うことになりますよね。この合意が成立するのか、という問題です。

これをうまくワークさせる一つのアイデアとしては、情報を取られる側が、情報を取得する側に対して、何かしらの通貨で報酬を支払うという仕組みがあります。海外でも同様のプロジェクトがあったりしていて、これは結構効果あるのではないかと思います。

参加者様の声

質疑応答を終え、本イベントは終了となりました。

参加者の方からは以下のような感想をいただいております。

「ブロックチェーンの仕組み自体は理解していたつもりではいたが、これがどのように世の中を変えるのかが見えてきた」

「明るい展望だけではなくて、解決されるべき課題もよく理解できました」

「本やニュースでは拾えない話まで聞けて充実した時間でした」

皆様、ご参加いただきありがとうございました!

次回アナウンス

大盛況だった今回のイベントですが、3/6に次回「ブロックチェーン技術で著作権、不動産管理は変容するのか?」が予定されています。

ぜひ参加して、弊社・森川と意見を交わしてみてください!

次回イベント https://startuphub.tokyo/event/20180306e2

主催者紹介

イベント主催者
Startup Hub Tokyo 様
URL:https://startuphub.tokyo/vision
運営元:東京都産業労働局 商工部 創業支援課 様
運営会社:テクノロジーシードインキュベーション株式会社 様

登壇者紹介

森川夢佑斗
森川夢佑斗
株式会社Ginco CEO
URL:https://ginco.io/
京都大学在学中にAltaApps株式会社を創業し、仮想通貨ウォレットアプリ開発やブロックチェーンに 係るコンサルティングを行う。現在は、株式会社GincoのCEOとして、仮想通貨時代の新たな銀行の 構築を目指している。著書に『ブロックチェーン入門』(ベスト新書)、 『一冊でまるわかり暗号通貨2016~2017』(幻冬舎)など。

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この記事を書いたライター GincoMagazine編集部
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