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Nov 14, 2018

暗号資産(Crypto Assets)とは何か?金融庁が「仮想通貨」から呼称変更する理由を読み解く

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GincoMagazine編集部
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この記事のポイント

  • 11月12日に行われた金融庁の研究会で、「仮想通貨」から「暗号資産」への呼称変更が検討されました。
  • ブロックチェーン技術は、インターネットの世界に「信用コストが低く、確かな価値のやり取りを実現する空間」を生み出しました。言うなればこれが「Crypto Space」です。
  • 黎明期にCrypto Spaceで行われた価値のやり取りが「仮想通貨」であり、このユースケースは氷山の一角にすぎません。
  • Crypto Spaceにおいては、仮想通貨以外にも様々な価値の記録をやり取りすることができます。こうしてCrypto Spaceで取り扱われることになる情報が「暗号資産(Crypto Assets)」です。

はじめに

11月12日に、金融庁では仮想通貨交換業等に関する研究会の第9回会合が開かれました。

そこでは「仮想通貨(Virtual Currency)」の呼称を「暗号資産(Crypto Assets)」に変更すべきでは?という議論が行われたようで、その理由として以下の2つが提示されています。

  • 現在広く用いられている「仮想通貨」という呼称と実体との間に乖離があること
  • G20などの国際会議においても、すでに「暗号資産」の呼称が一般的になりつつあること

参考記事:ウォレット業や現物取引の規制 「仮想通貨」の呼称変更を検討=金融庁の第9回研究会

カストディ型のウォレット業者登録制に関する言及に注目が集まる一方で、この「呼称の変更」について気に留める方は多くありませんでした。

しかし、この呼称変更が本質的に何を意味しているのか、どういった変化を予期しているのかについて理解することは、ブロックチェーンの今後の姿を捉えるうえで非常に重要です。

この記事では、暗号資産(Crypto Assets)とはどういった概念か、それがブロックチェーン技術とどう結びついているのか、について詳しくご説明したいと思います。

ブロックチェーン技術がたどった発展の経緯

ブロックチェーンの歴史は「Electronic Cash System」から始まった

現在、多種多様なユースケースが模索されているブロックチェーン技術ですが、そのプロトタイプが2008年に提示されたBitcoinであることは、すでにご存知の通りです。

過去にGincoMagazineで紹介したとおり、このBitcoinは「なぜ、現金を手渡すようにインターネット上でお金をやり取りすることが出来ないのか?」という問いに端を発したため、「通貨」としての利用を主軸に開発されることとなります。

また、それに追従する多くのアルトコインは、通貨的なユースケースを目指すこととなりました。

▼参考記事:「課題」と「経緯」から読み解くブロックチェーンの技術系統

「課題」と「経緯」から読み解くブロックチェーンの技術系統

さて、ここからあらためて、記事の本題に立ち返りましょう。

なぜ今、「仮想通貨」ではなく「暗号資産」に表現を変更する必要があるのか?

それはブロックチェーン技術の活用範囲が「通貨」という限定的なユースケースからはみ出しつつあるからです。

これについて視覚的なイメージを掴むために、ブロックチェーン技術がインターネットの世界において、何を実現しようとしているのかを、図解を交えながら説明していきましょう。

ブロックチェーン技術が生み出した「Crypto Space」

インターネットが情報の世界に奥行きを与えた

インターネットが登場し、今のように普及する以前、私たちが触れられる情報のほとんどは新聞紙面やテレビ画面のような「面」上で限定的に表示されていました。

ところが、インターネットによって、情報が相互にやり取りされる場がいくつも生まれ、情報の世界には奥行きが生まれます。

知りたいことのハイパーリンクを辿ってどこまでも深掘りしていける、情報「空間」にアクセスできるようになりました。

インターネット以前と以後の違い

ブロックチェーン技術が生み出した「信用のおける情報空間」

ただ、残念なことに、この空間内の情報はコピーや改ざんが簡単であったため、管理者がいないと簡単に無法地帯になってしまうという問題がありました。また、正当なやり取りを保証しようとすると管理コストが高くなってしまいます。その結果、管理を担えるだけの事業者の権限が肥大化することとなりました。

これは、2ちゃんねるのような匿名掲示板が無法地帯化する一方で、個人が表立ってコミュニケーションができるFacebookでは、事業者側が管理コストを支払うためにユーザーの個人情報を政治利用する、といったケースに顕著にあらわれています。

さらに、単なる知見やコンテンツに限らない「情報」、例えば金銭の残高や資産の所有権といったものは、コピーや改ざんが許されないため、インターネットを介して気軽にやり取りすることが出来ず、新技術の利便性を取り込めないまま、情報空間の外に取り残されることとなりました。

この状況を変えたのがブロックチェーン技術です。

ブロックチェーンが作り出したCryptoSpace

ブロックチェーンが実現した情報空間、言うなれば「Crypto Space」は、従来のインターネットに比べて公共性や透明性が高く、より確からしい価値を低コストでやり取りできる空間なのです。

言い換えると、現実世界の物々交換に近いかたちで、価値のやり取りを記録できる空間が生まれた、ということです。

「仮想通貨」は氷山の一角にすぎない

情報空間の氷山モデル

とはいえ、ビットコインの発明から現在に至るまでの間、Crypto Spaceはまだまだ発展途上で、極めて限定された情報しかやり取りすることができませんでした。

それは例えば、「預金通貨の残高記録」といった情報、まさにビットコインのような「仮想通貨」たちです。

ところが、近年のブロックチェーン技術の発達と汎用化にともなって、このCrypto Spaceは拡大しつつあります。

そうして、新たにインターネットの情報空間上に顔を出しつつあるのが、冒頭で取り上げられた「暗号資産(Crypto Assets)」、つまり「Crypto Spaceの中で取り扱われるAssets(資産)」という訳です。

仮想通貨はあくまでも、Crypto Space全体の一部、氷山の一角にすぎません。

暗号資産(Crypto Assets)とは具体的にどんなもの?

暗号資産を取り巻く概念の整理

暗号資産とは、今後ブロックチェーンを利用してやり取りされることとなる「価値や権利の記録情報」の総称です。

図で示したように、暗号資産としてブロックチェーン上でやり取りされることになるものは、大きく2つに分けることができます。

既に資産として取り扱われているものを低コストでデジタル化する

そもそも、既存の社会において「資産」として取り扱われているものの大部分は物体そのものではなく、その「情報」が重要な意味を持ちます。

例えば、土地を不当に占拠している人がいても、それは占拠している人の資産ではなく、登記された正当な所有権者の資産です。

また、土地やマンションを転がして資産を形成している投資家にとって、ある物件を手放すことはその人の住環境に何も影響を及ぼしません。ただ、所有権を別の誰かに移し、それを現金という別の情報に転換しただけのことです。

他にも、国際的なアートマーケットで売買される絵画なども、所有者が誰かという記録を売買するだけで二次・三次流通市場を形成しており、実際の作品は同じ美術館に展示され続けることがしばしばです。

このように、現代における「資産」の多くは、「実体をどこで誰が持っているか」ではなく、「その資産の所有権者について、どのように記録されているか」を根幹に置いて、やり取りされています。

こうした従来型の資産を市場の実態に合わせて、よりデジタルでボーダレスな形で実現するものとして、以下のような暗号資産が考えられています。

▼従来型の資産をCrypto Spaceで取り扱うケース

  • 有価証券(株・債券・デリバティブ)
  • 不動産(土地・建物)
  • 動産(アート・美術品)
  • 著作権(記事・音楽・動画)

価値を適切に取り扱うことのできなかったものを資産化する

Crypto Spaceでは、情報に価値を与えるためのコストが軽減され、さらにその情報が個人に帰属するようになります。

その結果、これまでは企業やプラットフォームに一方的に搾取され、個人が有効活用することのできなかった、様々な情報・データそのものを資産として活用することが可能になります。

例えば、病院での診察内容や健康診断の結果などの情報を、病院が管理するのではなく、個人が自分のデータとして管理・運用することが可能になります。このデータは薬品会社に販売することで、そのデータを元にした医薬品を割安で購入することが可能かもしれません。

また、行動履歴のような個人情報も、プラットフォームが一方的に搾取するのではなく、個人が任意の対象に販売することができれば、資産と考えられるようになるでしょう。

さらに、プラットフォーム外に持ち出すことのできなかった「いいね」や「フォロー/フォロワー関係」といった、社会関係資本もプラットフォームに依存せず移動させることが可能になるでしょう。

こうした「新しい資産」も、ブロックチェーンが実現していくCrypto Assetsです。

▼これまで価値を適切に取り扱えなかったものがCrypto Spaceで資産となるケース

  • 個人の健康情報や与信情報
  • 個人の行動履歴や閲覧履歴
  • ゲームなどのデジタルアイテム
  • 社会関係資本

Gincoは暗号資産を誰もが安全に管理し利活用するためのサービス

暗号資産の管理ツール・Ginco

さて、このCrypto Spaceに個人がアクセスするためには、一人ひとりが自分の秘密鍵を持つ必要があります。

これは、インターネット上のサービスにアクセスするために、メールアドレスが必要だったり、既存の社会インフラを活用するのに印鑑が必要だったりするのと同様です。

Gincoがウォレットアプリを提供してきた理由は、まずユーザーそれぞれに秘密鍵を持ってもらい、Crypto Spaceへアクセスするためのスタート地点に立ってもらいたいからに他なりません。

また、今後のGincoが目指すのは、一般の人がCrypto Spaceへアクセスし、より柔軟に、より自由に暗号資産を利用できるようにしていくことです。

かつて、ブラウザや、スマートフォンといったインターフェイスが、インターネットという情報空間への入場券となったように、ウォレットというインターフェイスが、Crypto Spaceへユーザーを送り届け、次世代の資産活用を実現していく必要があります。

Gincoは、「仮想通貨ウォレット」に留まることのない、「暗号資産管理サービス」として、ユーザーの皆様に愛されるアプリケーションを提供していくことで、ブロックチェーン技術の普及とCrypto Spaceの発展、および新しい時代の価値のあり方を提言していきたいと考えています。

※2018/11/15 旧タイトル『なぜ仮想通貨ではなく暗号資産(Crypto Assets)なのか?金融庁の呼称変更からブロックチェーン業界の現状と今後を読み解く』から改題

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この記事を書いたライター GincoMagazine編集部
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