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Nov 08, 2018

マイニング事業者だけが知っている「マイニング投資」のウソ・ホント|Ginco Mining特集

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GincoMagazine編集部
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はじめに

仮想通貨市場が冷え込んだ2018年ですが、9月にマイニング最大手のBitmain社がIPO申請を行ったことで、あらためて「仮想通貨マイニング」に注目が集まっています。

それに関連して、Bitmain社から正式にライセンスを取得した国内唯一のマイニング事業者であるGincoも多くの方々からお問い合わせをいただいております。

マイニング業界が活性化し、DMMやGMOなどの大企業も事業として参入しています。また、個人向けの投資商品として、クラウドマイニングと呼ばれるサービスも少しずつ普及しつつあります。

その一方で、法整備の抜け穴をついた詐欺まがいの広告を目にすることも増えてきました。中には、マシンを一方的に高値で売りつけ、マイニングが上手く行かなくても後は自己責任と言わんばかりの業者も散見されます。

そこで、このたびGincoでは、マイニングにまつわる基礎知識を体系化し、手触りのあるビジネスとして皆さんにご理解いただくための特集を連載していきます。

その序章として、この記事では「仮想通貨マイニング」という事業の性質と、それを取り巻く実情についてまとめたいと思います。

仮想通貨の「マイニング」とは?

「マイニング」とは、ビットコインをはじめとする仮想通貨のシステムの維持・更新作業に参加して、報酬を得ることを指します。

マイニングの参加者(「マイナー」と呼ばれる)は、高性能のGPUやマイニング専用マシンのASICを用いて、取引記録のセキュリティと一貫性を保っており、それが仮想通貨の資産価値を生み出す源泉ともなっています。

▼参考記事:仮想通貨マイニングとは?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?

仮想通貨マイニングとは?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?

マイニング投資、「高い収益率」と「手軽さ」のウソ

仮想通貨価格の上昇とマイニング投資の収益率を混同しない

マイニングに関連した事業者のWebサイトや資料には、2017年に大幅な値上がりを見せた仮想通貨相場を利用して、「異常なまでの高収益!」「1ヶ月で投資元本を回収!」といった宣伝文句が見られます。

これは歴史的な価格高騰があった2017年の特異的なデータを元にしたものであり、それらの多くが2017年12月までのグラフを利用して投資を煽っています。

コインマーケットキャップ

参照:2018年11月 CoinMarketCapより

仮想通貨を取得するマイニングについては、仮想通貨自体の価格が激しく変動するため、短期的な値上がりの相場を恣意的に見せることで、収益率を誤魔化しやすい傾向にあります。

しかし、実際の収益シミュレーションは、採掘する通貨価格とハッシュレートにともない、刻一刻と変動するもので、「収益率」のような数字を謳い文句にすることが難しいという性質を持っています。

マイニングを気軽にできる時代は終わっている

仮想通貨マイニングが「誰がやってもマシンが勝手にビットコインを稼いできてくれる」と書かれていることも多数見受けられますが、これもまた誇大広告の1つです。

マイニングを収益化するためには、電気代やマシン代などのコストをいかに低く抑えるかが重要になります。(第3回「マイニングの収益換算方程式」にて詳述)

また、マシンのメンテナンスや安定稼働を行うには、一定以上の専門知識が必要です。

したがって、「個人で気軽に始める」ことは難しく、収益化が可能な環境で、専門知識を有した人間に適切な運用を委託する「信託」に近い形態がベターになりつつあります。

仮想通貨マイニング事業にまつわる実情

「ボラティリティに左右される」の実情

確かに、価格が高騰している市況においては、投資金額を早い段階で回収できるようになります。短期的な投資回収効率の高い商品はキャッチーですから、仮想通貨マイニング事業者はこれを謳い文句にしがちです。しかし、この考え方は基本的に疑ってかかるべきです。

ただ、これは「そもそも短期的にアップトレンドでなければ意味がない」「いまはマイニングしても意味がない」という意味ではありません。

なぜなら、仮想通貨マイニング事業においては、「採掘する通貨の価格がいくらになろうとも、取得できる仮想通貨の総量は安定している」からです。

ざっくりした言い方をすれば、マイニングとは「購入したマシンが仮想通貨建ての積立投資をしてくれる」というモデルだと考えることもできるでしょう。

これにより、仮想通貨の価格が下落する市況においては、マシンに投資した金額で償却できる仮想通貨の総量が増加します。

つまり、節税を主目的にマイニング機材へ投資して、仮想通貨を中長期的なポートフォリオに組み込んでいこうという方にとっては、むしろダウントレンドのほうが好都合ということになります。

これは、確定拠出年金など積立型投資商品に関する「ドルコスト平均法」の考え方を援用することができます。

  • マシンを購入することで、本業の事業収益を設備投資に回せる
  • その設備投資を利用して積立型の資産形成を行う

という考え方が、現状の仮想通貨マイニングを捉える上でのポイントと言えます。

「節税に効果的!」の実情

2019年3月31日までの間、仮想通貨のマイニングマシンの購入には「中小企業経営強化税制」を適用することができ、費用全額の即時償却または税額控除が可能です。

尚、この申請の可否は当該申請者の事業実態に左右されるため、導入をお考えの際には税務面での事前確認をおすすめいたします。

この申請が通れば、年度内の収益を経費としてマイニングマシンに充てることで、高い節税効果を見込むことができます。

参考資料:中小企業等経営強化法に基づく税制措置・金融支援活用の手引き

しかし、ここでいくつかの落とし穴があります。まず、マイニングマシンによって得られる利益は日本円ではなく仮想通貨として手元に入りますが、この際に発生する利益は事業収益として課税され日本円で納税する必要があります。

また、この事業収益は「入手時点での仮想通貨の額面 × 入手時点での為替相場」で換算されるため、仮想通貨を入手した履歴を正しく記録し、確定申告を行わなければなりません。このように正しくマイニングに取り組むためには、「通貨取得履歴の管理」を適切にできる方法を手配する必要があります。

さらに、海外でマイニング事業を行う際には、上記の税額控除を受けることはできません。そのため、国内でも収益化が可能なマシンや設備を整える仕入れルートや運用ノウハウが不可欠になります。

仮想通貨マイニングの本当の魅力

ここまで紹介してきた通り、仮想通貨マイニングは、個人で運用するにはかなりの専門性を要する投資商品です。また、収益性についても仮想通貨の値上がりを前提としない場合は、かなり落ち着いた水準になります。

では、仮想通貨マイニングの「投資商品としての魅力」は何でしょうか?

第1の魅力は先述の通り、マシンへの投資を経費計上することで一定程度の「節税効果」が見込めることにあります。しかし、その場合には税制などを理解することと、運用上のノウハウが必要になります。

運用上の課題をクリアした上で生じる、第2の魅力は「回収サイクル」が、同種の投資対象に比べて早いことです。「3ヶ月で回収!」とまではいかないまでも、不動産や太陽光パネルなどと比較するとその回収サイクルは短く、現在の相場でも約1〜1.5年での回収が見込めます。

第3の魅力は、入手する仮想通貨が不動産商品や太陽光パネルなどと比較して「流動性」が高く、値上がりのタイミングを見計らうのが容易である点です。結果的に手元に残るのが、価値の逓減する機材だけではなく、そこから生み出される通貨であるため、価値を保存しやすく、相場に合わせてベストなタイミングで売りぬくことが可能です。

このような観点から、「仮想通貨マイニング」は、太陽光パネルや賃貸用不動産投資のように、初期投資を経費計上しつつ、安定した固定収益を発生させるタイプの投資商品であると考えていただくのがベターでしょう。

また、上記2つの投資商品との違いは、取得できるものが現金そのものではなく売買・保管の簡単なデジタル資産である、という点です。

設備投資で節税を行いつつ、中長期的に価格の上昇を期待できる仮想通貨を積立式で取得できるのが、マイニング投資の魅力になります。

まとめ

マイニングを収益化し投資を成功させるためには、専門知識とノウハウは必要となりますが、投資商品としては十分魅力のある分野です。

これらの詳細については、次回以降の記事で以下のように順を追って説明していきます。

  • 仮想通貨マイニングとは何か?意義や価値の源泉は何か?
  • 仮想通貨マイニングの手法ごとの違いは何か?それぞれにどう参加すればいいのか?
  • 仮想通貨マイニングを収益化するための基本的な公式
  • マイニングマシンごとの特徴、強み・弱みについて
  • 仮想通貨マイニングに事業として取り組む際の落とし穴

また、Gincoのマイニング事業ではマイニングマシンの販売・ハウジング・運用代行・リペアなどを行っています。

▼参考記事:Ginco、ウォレット事業者として初のマイニング事業進出。モンゴルに子会社を設立

Ginco、ウォレット事業者として初のマイニング事業進出。モンゴルに子会社を設立

Gincoでは、マシンの購入から修理に至るまでトータルでサポートしており、サービスの品質を保障する技術力を日経xTechなどのメディアでも度々ご紹介いただいております。

▼参考記事
日経xTech『モンゴルが注目、日本ブロックチェーンベンチャーの技術力』

「騙されないか不安で始められなかったけど、マイニングには興味がある。話を聞いてみたい」という方は、ぜひ以下のメールアドレスからお問い合わせください。

お問い合わせ先:mining@ginco.io

Ginco Mining特集
第0回:マイニング事業者だけが知っている「マイニング投資」のウソ・ホント
第1回:仮想通貨マイニングとは?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?
第2回:何をどう始めればいい?マイニングの種類と参加までの流れ
第3回:どう収益を上げればいい?マイニングの収益構造からポイントを理解する
第4回:どのマシンを買えばいい?マイニングマシンの特徴と選び方
第5回:マイニングの落とし穴!?失敗しないためのコツとは


※2018年12月7日にいただいたご指摘を受けて、誤解を招いておりました当記事内の表記について、2018年12月12日に修正を加えました。この修正については、以下の記事リンクにて詳細にご説明しております。

マイニング特集記事に関する訂正とお詫び

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この記事を書いたライター GincoMagazine編集部
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