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Nov 09, 2018

仮想通貨マイニングとは?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?|Ginco Mining特集

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GincoMagazine編集部
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はじめに

近頃では、日本でもGMOやSBIグループなど大手事業者が仮想通貨の「マイニング」に参入するようになってきました。特に、2017年の仮想通貨ブーム以降、ブロックチェーンに関連した新規事業の1つとしてマイニングが注目されています。

この記事をご覧のみなさんの中にもマイニングを始めてみたいと考えている方がいるかもしれません。しかし、利益を出すためにはマイニングについての正しい知識と理解が必要です。

▼参考記事:マイニング事業者だけが知っている「マイニング投資」のウソ・ホント

マイニング事業者だけが知っているウソ・ホント

この特集では、マイニングの仕組みやマイニングを取り巻くビジネス環境について解説していきます。

今回は、マイニングとは何か、なぜマイニングで利益が出るのかというブロックチェーンの基本的な仕組みについて紹介します。

マイニングとはブロックチェーンに貢献して仮想通貨を手に入れること

マイニングとは、ブロックチェーンに貢献する計算作業を行う代わりに、仮想通貨を報酬として受け取ることを指します。たとえばビットコイン(Bitcoin)では、1度のマイニングに成功すると2018年現在12.5BTC、日本円で約900万円ほどを受け取ることができます。

マイニングのための計算だけを行う専用マシンも販売されています。数多くのマシンを集めて昼夜問わず稼働させるデータセンターなどの施設を「マイニングファーム」と呼びます。

しかし、なぜ機械で計算を行うことによって利益が出せるのでしょうか。これを理解するためには、そもそもブロックチェーンがどのような仕組みになっているかを知る必要があります。

ブロックチェーンの仕組みとマイニングの目的

マイニングで得られるのは公共のシステムを維持するための報酬

ブロックチェーンは誰でも参加し利用できる公共のネットワークであり、取引記録のデータベースです。そこでは仲介者や管理者を挟むことなく個人が直接取引することが可能です。

これは従来のシステムと何が違うのでしょうか?

たとえば、私たちが普段銀行を通して送金するとき、取引を記録する「台帳」は銀行が管理しています。佐藤さんが鈴木さんに10,000円を送るときには、銀行が二人の間に入り、銀行が管理する台帳に「佐藤さんが鈴木さんに10,000円を送る」と記入します。これにより、10,000円を引き出す権利が佐藤さんから鈴木さんに移動して、鈴木さんは10,000円を口座から引き出すことができるようになります。

一方、ブロックチェーンにおいては、全ての取引(「トランザクション」と呼ばれます)の記録が参加者によって更新され、参加者全員の手元で保存されます。このシステムを維持するためには、参加者の自発的な貢献が必要になります。

中央管理型と分散型

しかし、無報酬のボランティアでは安定したシステムたりえません。そこで、システムに貢献した人間に報酬を与えよう、というのがマイニングの基本的な考え方となります。

計算競争の勝利者だけが記録の更新を行う

ところが、記録の更新を誰でも自由にできてしまうと、報酬を得るために適当な記録をバラバラに付け加えて一貫した台帳を維持できなくなってしまいます。

また、基本的には誰でも参加することが可能なため、悪意のある人間が二重送金や改ざんなどの不正を働こうとするかもしれません。

したがって、「ネットワーク全体で一貫した記録の追加・更新をどのように行うか?」「一度追加された記録が改ざん出来ないようにするにはどうすればいいか?」という2つの課題を解決する必要があります。

このために考え出されたのが「Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク、PoW)」という仕組みです。PoWでは、記録の追加のために多大なコストが発生するようにして、システム全体のセキュリティを高めています。また、システムに貢献した参加者に報酬を与えることで、システムが破綻することなく維持されるように設計されています。

一般的に「マイニング」と呼ばれるものは、このPoWの仕組みに則って計算競争に参加することを指します。

PoWマイニングは事業化が進んでおり、「ASIC」と呼ばれる専用のマイニング機器の製造メーカー・販売代行業者・運用代行・リペア業者などの周辺産業も発展しています。

以下では、PoWマイニングの詳細について見ていきましょう。

PoWマイニングは純粋な計算力の競争

Bitcoinのブロックチェーンにおいては、約10分おきに取引記録をまとめてブロックに入れることで、それらを「正式に承認されたもの」とみなします。※

取引記録が書かれた紙をまとめてフォルダに入れ、鍵をかけて圧縮しながら、新しいフォルダを重ねていくといったイメージです。

※より正式な承認は、そのブロックから先に5個分のブロックが追加された時点を指し、これを「6-confirmation」と呼んでいます。

このとき、ブロックに鍵をかけて正しく生成を行うためには、一種の暗号を解く必要があります。この暗号は特定の解法を持っておらず、手当たり次第に計算を繰り返す必要があるため、膨大なコンピューティングリソースを必要とします。

この計算作業を行って答えを見つけブロック生成に成功すると、Bitcoinなどの報酬を受け取ることができます。

計算力が高ければ高いほど成功確率も高くなるので、マイニングにおいては多くのコンピューティングリソースを割き、効率よく計算することが重要となります。

それでは、具体的にはどのような計算を行っているのでしょうか。

PoWの計算方法

ブロック生成のフロー

ブロック生成には「ハッシュ関数」という暗号化方法が用いられています。ハッシュ関数による計算では、「計算結果(ハッシュ値)から元の数値を割り出すことが困難である」「どのような長さのデータでも一定の長さの文字列にできる」といった特徴があります。

ブロックには、①前のブロックのハッシュ値、②トランザクション記録などが入り、これにハッシュ関数をかけることで、ブロックごとに無作為なハッシュ値を生み出します。

ところが、ブロックの情報を関数に入れた結果であるハッシュ値は、「先頭に0が〜桁並ぶ」というような厳しい条件を満たさなければなりません。そこで、③ナンス値と呼ばれる使い捨ての調整データを用いています。

マイナーはこの3つを足し合わせてハッシュ関数に入れたときに、計算結果が条件を満たすようなナンス値を探し当てるための計算を行います。

ハッシュ値からナンス値を逆算することは困難なため、マイナーはひたすらナンス値を変えながら総当たりで計算していきます。運良く条件に合うようなナンス値を発見したマイナーは計算競争の勝者となり、報酬を受け取ります。

マイナーは答えを探し当てるとそれを他のマイナーに共有します。新しいブロックを受け取ったマイナーは次のブロックを生成するために、再び計算競争を始めます。Bitcoinではこうした流れが約10分毎に繰り返されています。

PoWマイニングの問題点

PoWのマイニングは、ブロックチェーンを維持するための最も基本的な仕組みとなっており、Bitcoinをはじめとする多くのブロックチェーンで採用されています。

しかし、PoWマイニングにもいくつかの問題があります。特に、ネットワークの主導権が、マイニングの盛んな中国に偏ってしまっていることと、環境にかかる負荷が大きいことが問題視されています。

これらの問題はどちらも、単純な計算力の競争だけでネットワークを維持しようとしたことで、競争が激化しすぎてしまったことが原因です。

PoW以外のマイニング

ここまで主要なPoWマイニングについて説明してきましたが、ブロックチェーンの合意形成のアルゴリズムは他にもいくつか存在し、現在多くの実験が行われています。

その一つである「Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク、PoS)」と呼ばれる仕組みでは、トークンの保有量に比例してマイニングの権限が付与されます。PoSでは攻撃を行うために多くのトークンを保持しなければなりませんが、攻撃を行うと自分の持っている通貨の価値が低下してしまうために、攻撃のインセンティブが働かない設計となっています。イーサリアム(Ethereum)は現在PoWが採用されていますが、今後PoSに段階的に移行する予定です。

PoSでは、資産をマイナーに預け、それを利用してマイニングに取り組むモデルが考えられています。

まとめ

ここまで、ブロックチェーンにおいて「マイニングとは何か?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?」について解説してきました。

整理すると、

  • マイニングとは、管理者のいないシステムであるブロックチェーンを支えることを通じて、報酬を受け取ることを指す
  • マイニングでは、総当たりの計算競争を通じて、ブロックチェーンの一貫性と不正耐性を保障している。この際、膨大なコンピューティングリソースが必要となるが、これが仮想通貨の価値の1側面となっている
  • PoWマイニングではハッシュ計算を効率よく行うことが重要となるため、専用マシンの開発やマイニングファームの設立が進んでいる

といった内容でした。

次回は、マイニングの収益構造や収益モデルについて解説し、利益を出すためのより詳細な計算方法をお伝えします。

お問い合わせ先:mining@ginco.io

Ginco Mining特集
第0回:マイニング事業者だけが知っている「マイニング投資」のウソ・ホント
第1回:仮想通貨マイニングとは?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?
第2回:何をどう始めればいい?マイニングの種類と参加までの流れ
第3回:どう収益を上げればいい?マイニングの収益構造からポイントを理解する
第4回:どのマシンを買えばいい?マイニングマシンの特徴と選び方
第5回:マイニングの落とし穴!?失敗しないためのコツとは

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この記事を書いたライター GincoMagazine編集部
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