仮想通貨(暗号通貨)を支える公開鍵暗号方式とは?|はじめての仮想通貨管理
この記事のポイント
- 仮想通貨とは、「暗号技術を使って開発された通貨」のこと
- ビットコインでは、公開鍵暗号方式という暗号技術が使われている
- 公開鍵と秘密鍵という2つの鍵があり、秘密鍵を盗まれるとビットコインも盗まれてしまう!
仮想通貨(暗号通貨)とは?
暗号技術を用いて開発された通貨を総称して「仮想通貨(暗号通貨)」と呼びます。
仮想通貨は法定通貨と違い、オンラインネットワーク上で生成されるもので、発行主体がありません。
紙幣や硬貨と違って物理的な実体を持たないため、「バーチャルなお金」という印象が強く、日本ではこちらの呼び方が主流です。
最も有名な「ビットコイン(bitcoin)」は、世界で初めて誕生した仮想通貨として知られています。
さらに、ビットコインの出現後に新たに開発された仮想通貨を「アルトコイン」と呼びます。
アルトコインは「bitcoin alternative(ビットコインの代わりとなるもの)」という由来から、名前がつけられています。
ビットコインに使われている暗号技術とは?
秘密鍵と公開鍵
代表的な技術として、「公開鍵暗号方式」が用いられています。
公開鍵暗号方式では、「公開鍵」と「秘密鍵」というペアとなる鍵を発行します。
公開鍵は秘密鍵から生成されるますが、その逆を行うことは不可能です。
まずは図で、そのイメージを掴んでもらいましょう。
公開鍵は誰でも自由に見て使うことができる一方で、秘密鍵はその鍵の所有者だけが使うものです。
アドレス
また、仮想通貨を誰かに送る際には、「アドレス」という宛先を指定するための文字列を公開鍵から生成します。
これは現実世界の銀行でいう、預金口座の「口座番号」に該当するもので、26~35文字の英数字からできています。
このように、仮想通貨の世界では、誰にでも使える「公開鍵」をアドレスの生成、ユーザー本人しか使うことのできない「秘密鍵」を取引実行のための署名に用いています。
少し分かりにくいと思いますので、次でもう少し詳しくこの流れを説明しましょう。
公開鍵暗号方式で出来ること①:暗号化通信
公開鍵暗号方式を使うことで、次の図のように遠くはなれたAさんとBさんの2人が「間違いなく改ざんされていない」やり取りを行うことができます。
はじめにBさんがAさんの公開鍵を用いて、元の情報に暗号化を施します。
暗号化された情報は誰でも見ることができますが、復号して解読できる状態にできるのは、暗号化に使った「Aさんの公開鍵」のペアである「Aさんの秘密鍵」を持っている人物、つまりAさんだけです。
このように、公開鍵暗号方式を用いれば、特定の人物にだけ、改ざんされていない情報を届けることができます。
公開鍵暗号方式で出来ること②:電子署名
次にAさんがBさんに5BTCを送金したいとします。このときAさんは自分の秘密鍵を使って「電子署名」をしなければなりません。
これは現実世界の支払いの場面における、契約を確認するときのサインや印鑑に似ています。
もしくはカード払いをするときの暗証番号入力と、同じような役割を果たしていると言えるでしょう。
公開鍵暗号方式によって、自分しか持っていない秘密鍵を使って暗号化された情報であるということを、受け取り手にきちんと理解してもらうことができるのです。
秘密鍵の管理に注意!
さて、ここまでの話は全て「Aさんの秘密鍵を持っているのはAさんだけである」という前提に則っています。
逆に言ってしまえば、「秘密鍵」を盗むことさえできてしまえば、誰でもAさんのフリができるのです。
仮想通貨は、「公開鍵暗号方式で本人確認をし、ブロックチェーンで虚偽を排除した、送受金の正しい履歴」ですから、秘密鍵を盗むことができれば、その人の資産を自由に引き出す(勝手に盗む)ことができてしまいます。
そのため、秘密鍵の管理については、極めて慎重になる必要があります。
現在、仮想通貨を取引所で購入して、取引所の中で仮想通貨をそのまま管理している人が多数います。
しかし中央集権的な取引所では、秘密鍵を取引所が管理します。
一度取引所のサーバーが攻撃されて、秘密鍵が盗まれてしまえば、あなたの資産は一気に危険に晒されてしまいます。
危険を回避するためにも、秘密鍵の安全な管理方法について、学ぶ必要があるのです。
まとめ
ビットコインをはじめとする、仮想通貨(暗号通貨)は、公開鍵暗号方式によって支えられています。
公開鍵と秘密鍵を用いることで、通貨の必須機能である「価値の交換」が可能となりました。一方で、秘密鍵をきちんと管理しないと、資産がリスクに晒される可能性もあります。
仮想通貨(暗号通貨)を持つ全ての人が、秘密鍵の重要性を理解してセキュリティ対策をしていくことが大切です。