Blockchain Topic Report|2019,Jan,Week4
本記事では2019年1月4週目(1月18日〜1月24日)のブロックチェーン業界の動向をまとめます。主要なニュース・トピックを市況・投資領域、規制・政治領域、ビジネス・事業領域、プロトコル領域に分けて整理しています。
今週の概観
市況・投資領域
アメリカではセキュリティトークン取引所のtZEROがとうとうローンチしました。セキュリティトークンの取引所はシンガポールやジャマイカで設立されようとしており、波が世界に広がってきていることを実感します。 その他、SolidXとVanEckによるビットコインETF申請が再度の取り下げとなったというニュースがありました。特にVanEckの方は期待されていましたが、ビットコインETFがアメリカで承認されるにはまだ時間がかかりそうです。
政治・規制領域
OECDがICOに対して、中小企業(SMEs)にとっては有力な資金調達方法となりうるという見解を発表しました。またイギリスではトークンをユースケースごとに分類し、それぞれ異なる法律で規制するべきだという提案がなされています。日本でも現在金融庁でICO対策が進められているところですが、こうした欧州の流れが今後の規制方針に影響を与える可能性もあります。
ビジネス・事業領域
日本ではCrypto Garageが、BitcoinサイドチェーンのLiquid Networkを利用した日本円建て通貨を発行する実証実験を行っていくと発表しました。成功すれば暗号通貨決済における流動性やボラティリティといった問題の解決につながっていくでしょう。 また、早速Grinのマイニングに適したGPUが作られていると明らかになりました。GrinとBeamが、昨今冷え込んでいるマイニング業界を盛り上げる光となる可能性も出てきそうです。
プロトコル領域
Beamのブロック生成が止まるなどの問題がありました。また、日本円に連動した暗号通貨「Zen」の実験が第二フェーズに入るとのことで、そう遠くないうちに日本円にペッグしたステーブルコインを購入できるようになる日が来るかもしれません。
編集部コメント
セキュリティトークンはアメリカから始まりましたが、徐々にその他の地域でも広がってきています。国ごとに規制も市場状況も異なるため、アメリカ以外の地域が何をセキュリティトークンで解決できる課題と考えるのかは興味深い点だと思います。またそれ以外でもBithumbの上場のための合併やHuobiのデリバティブ取引高など取引所に勢いを感じるニュースが多かった週でした。
また各国の規制方針を見ると、それぞれやり方は違えど「適度な規制」を探しているという点では共通しています。日本でもビジネスを殺さず、かつKYC/AMLや消費者・投資家保護を適切に行うような規制が行われ、ブロックチェーンをやりたいプロジェクトが海外へと出ていくような事態が改善されることに期待したいところです。
注目トピック
市況・投資領域
仮想通貨取引関連
暗号通貨取引所であるBithumbが、アメリカの暗号通貨投資企業であるBlockchain Industriesと逆さ合併を行おうとしていることが分かりました。逆さ合併によって、IPOの手順を踏まずに実質的な上場が可能となります。
> 詳細はこちらChicago Board of Exchange(CBOE)は、SolidXとVanEckのビットコインETFの申請を取り下げました。SECの一部が閉鎖されていたことが理由とされています。
> 詳細はこちらHuobiの暗号通貨デリバティブマーケットは、11月に開始してから既に200億ドル以上の取引高を記録したと発表されました。Huobiデリバティブマーケットでは、Bitcoin、Ethereum、EOSの3種類の通貨で先物が取引されています。
> 詳細はこちらタイ証券取引所は、投資家の需要に応えるために暗号通貨トークンの取引所をローンチする予定について明らかにしました。現在タイの金融省にライセンス取得を申し込んでいるとのことです。
> 詳細はこちら韓国の取引所であるCoinnestが、コンピューターエラーによって5万ドル程を顧客にエアドロップしたと発表しました。Coinnestは顧客に返還を求め、約半分が戻ってきているとのことです。
> 詳細はこちら
セキュリティトークン取引関連
ZilliqaとMaicoinが提案して、シンガポールでセキュリティトークンの取引所を設立予定だということが明らかになりました。金融機関としてのライセンスを得ること、またAirbnbなどユニコーン企業の株を売買できるようになることを目指しているとのことです。
> 詳細はこちらジャマイカ証券取引所はセキュリティトークンを取引可能にする予定だと発表しました。既に実験が完了しており、非常に満足できる結果が出ているとのことです。
> 詳細はこちらセキュリティトークンの二次流通取引所であるtZEROがローンチしました。まず最初に自社のtZEROトークンが取引できるようになっているとのことです。2019年に入ってからセキュリティトークンの取引所開設が相次いでおり、これで3つ目となります。
> 詳細はこちら
政治・規制領域
OECDのICOに対する見解が報告書として提出されました。ICOは中小企業(SMEs)にとっては有力な資金調達の方法となりえますが、主流となるためにはさらなる規制と成熟が必要だとしています。
> 詳細はこちらイギリスの金融管理当局は、暗号通貨をタイプ別に規制する方針を提出しました。Bitcoinなどの「交換トークン」、投資商品とみなされる「セキュリティトークン」、電子マネーにあたる「ユーティリティトークン」でそれぞれ異なる規制をするべきだと提案されています。
> 詳細はこちらオランダの金融当局が、暗号通貨の取引所とウォレットに対してライセンス制の導入を予定していることが分かりました。暗号通貨には大きな金融犯罪のリスクがあるとして、AMLD5 [the Fifth European Anti-Money Laundering Directive]に準拠するように求める方針です。
> 詳細はこちらペンシルバニア州の銀行証券局は、暗号通貨の取引所は資金移動業に該当しないとのガイダンスを提示しました。Bitcoinなどは「金銭」とは異なるもので、取引所は資金移動業ライセンスを持つ必要はないとのことです。
> 詳細はこちら韓国で、取引所Komidを運営していた人物が、取引高を偽造して顧客を騙した罪で3年の実刑を受けました。Komidでは、偽のアカウントが作られ、botであたかも取引があるかのように見せかけられていたとのことです。
> 詳細はこちらガーナの証券取引委員会は、暗号通貨企業に関わらないようにとの注意を呼びかけました。取引所のGlobal Coin Community Helpが顧客のアカウントを凍結させたことが主な理由とされ、12月に次いで2度目の注意となっています。
> 詳細はこちら南アフリカの中央銀行は暗号通貨企業に対する規制を提案しました。消費者・投資家保護のために事業者の登録制などを検討していくとのことです。
> 詳細はこちら
ビジネス・事業領域
日本
暗号通貨を使った個人支援サービスのVALUがシリーズAで5億円の資金調達を行いました。「世界中の信用を評価し、資本主義をアップデートし続ける」という理念のもと、2019年はSNS機能の追加拡張と優待機能の改善などを行っていくとのことです。
> 詳細はこちらデジタルガレージ傘下のブロックチェーンベンチャーであるCrypto Garageは、規制サンドボックス制度で金融・ブロックチェーン領域第一号となる認定を受け、実証実験を行っていくと発表しました。Crypto GarageはBlockstreamが参加しているジョイントベンチャーであり、Liquid Network上にBitcoinとアトミックスワップが可能な日本円建て通貨を発行するとのことです。
> 詳細はこちらSBIホールディングスのSBIクリプトインベストメントは、スイスのコールドウォレット提供企業であるSmart Cash AGに出資したことを明らかにしました。安価かつ安全なコールドウォレットは、暗号資産の実需を創出しうると述べられています。
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海外
BitcoinATM企業のCoinmeは、両替企業のCoinstarと提携したことを発表しました。アメリカのKioskにあるCoinstar機械でBitcoinが買えるよう、協力を進めていくとのことです。
> 詳細はこちらマイニング大手のBitfuryが、Bitcoinのライトニングネットワークを利用した決済のためのサービスツールをリリースしました。PoSシステムへのAPI提供などによって、より多くの人が簡単に使えるようにすることを目指すとのことです。
> 詳細はこちらクラウドサーバーを狙ったMoneroのマイニングマルウェアが広がっています。研究者によればこのマルウェアは侵入すると、クラウドのセキュリティ製品をアンインストールし、その後Moneroをマイニングし始めるとのことです。
> 詳細はこちら暗号通貨のウォレット・カストディ企業のBitGoは、カストディアカウントから資産を移動させずにそのままGenesisで取引ができるようになったと発表しました。コールドウォレットに資産を置いたまま安全に取引することを実現しています。
> 詳細はこちら香港のグラフィックカード製造企業であるSapphireは、Grinのマイニングに適したGPUを発表しました。RX570 16GB HDMIは近日中に予約が可能になるとのことです。
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