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Feb 01, 2019

Blockchain Topic Report|2019,February,Week1

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GincoMagazine編集部
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本記事では2019年2月1週目(1月25日〜1月31日)のブロックチェーン業界の動向をまとめます。主要なニュース・トピックを市況・投資領域、規制・政治領域、ビジネス・事業領域、プロトコル領域に分けて整理しています。

今週の概観

市況・投資領域

Binanceがクレジットカード・デビットカードによる法定通貨からの暗号通貨購入サポートを開始したことは、世界の取引所に大きな影響を与えそうです。またウクライナの取引所であるLiquiが閉鎖を宣言しており、出口詐欺ではないかとの声もあります。小さな取引所は今後運営が難しくなっていくだろうと予想されます。

規制・政治領域

イタリアでブロックチェーンのタイムスタンプによるデジタル書類検証が合法化される予定です。イタリアは2018年には専門家グループを政府主導で作っており、ブロックチェーンの活用に積極的な姿勢を見せています。またマルタにIMFからAML・CFT対策を行うようにと勧告が出ています。今後Binanceなどの取引所にも動きがあるかもしれません。

ビジネス・事業領域

金融大手のFidelityなどが暗号通貨カストディへの参入を発表しています。カストディは競争が激しくなってきており、PrimeTrustなど手数料をAUM(管理資産額)の何%という形で取らないカストディアンも出てきています。日本でも仮想通貨カストディに関する規制が検討されており、ビジネス・規制ともに今後も動きがありそうです。また、富士通の発表したブロックチェーンを利用した電力調整システムは世界的にも注目されています。

プロトコル領域

BitcoinにペッグしたERC-20トークンであるWrappedBTC(WBTC)がローンチしました。暗号通貨デリバティブ取引などでの利用が期待されています。また、Nem財団のコストカットのためのリストラやPolkadotの追加資金調達など、プロトコル領域は暗号通貨価格の低迷によって資金繰りに苦労している様子が伺えます。

編集部コメント

今週はFidelityやTokensoftのカストディ参入、BitGo等によるWBTCのローンチなどカストディに関連した動きが多くあり、競争が激しくなっていることが伺えます。PrimeTrustがAUM(管理資金)の金額に依存しない手数料モデルを採用するなど、カストディのビジネスモデルが今後問われるようになっていくでしょう。

またBinanceのクレジット・デビットカードでの通貨購入対応もかなりビッグニュースですね。クレジットカード会社は暗号通貨に慎重でしたが、これをきっかけにクレジットカードで暗号通貨が買える取引所が増えていくのではないでしょうか。

注目トピック

市況・投資領域

  • 暗号通貨取引所のGeminiは、デロイトトーマツの監査によってセキュリティや機密保持の内部統制の国際認証であるSOC2を取得したと発表しました。これによってGeminiは世界初のSOC2を取得した取引所・カストディアンとなり、顧客データと資産を安全に守ることができると述べられています。
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  • ロンドンの暗号通貨取引所であるB2C2は、FCAから暗号通貨デリバティブ取引運営の許可が降りたことを発表しました。レバレッジをかけた先物取引が可能になるとのことです。
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  • 暗号通貨取引所であるBinanceはSimplexとの提携によって、クレジットカード・デビットカードでの暗号通貨購入が可能となったことを発表しました。これまでは暗号通貨同士の交換しかできなかったBinanceが法定通貨支払いを受け入れたことによって、取引所の勢力図が大きく変化する可能性も出てきました。
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  • ウクライナの暗号通貨取引所であるLiquiは、取引所の閉鎖を発表しました。9月10月にアルトコインの上場廃止をアナウンスした際にトークンを引き出すことができないなどの不満の声が聞かれており、出口詐欺ではないかとの見方もあります。
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  • 2週間前にハッキングを受けたニュージーランドの暗号通貨取引所であるCryptopiaは、再び17.5億円に相当するEthereumとERC-20トークンを盗まれたことを明らかにしました。犯人は同一人物と見られています。
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  • Bitcoin先物や決済プラットフォームのBakktを保有するInter Continental Exchangeは、ブロックチェーン企業のBlockstreamと提携し、暗号通貨のデータフィードサービスを立ち上げました。取引所から60種類以上の通貨に関するデータを取得し、価格や市場動向を見ることができるようになるとのことです。
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規制・政治領域

  • 国際通貨基金(IMF)の代表団は、暗号通貨・ブロックチェーン・アイランドを目指すマルタの金融システムが、マネーロンダリングやテロ資金調達に用いられているとの懸念を示しました。IMFは暗号通貨関連企業の速やかなAML対策をマルタに求めています。
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  • EU、イギリス、ドイツの警察によって、85人以上から合計11万ドルのIOTAを盗んだとされる容疑者が逮捕されました。ウォレット内で生成された秘密鍵を、裏で見ることのできるようなウェブサイトを作っていたとのことです。大きなハッキンググループの犯行と見られていたものが一人の個人によって行われていたことは、驚きをもって受け止められています。
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  • イタリアの上院議会で、ブロックチェーンのタイムスタンプをデジタル書類の確認に利用する改正法案が通過しました。改正法案ではブロックチェーンやスマートコントラクトが定義され、またタイムスタンプが法的な効力を持つとのことです。
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  • サウジアラビアとUAEの中央銀行は、デジタル通貨発行のために提携していくことを発表しました。ブロックチェーンを導入することで、国際決済の効率化を図る予定です。
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  • イランの中央銀行は、認定されていない暗号通貨を決済に用いることを禁止する予定と見られています。提出された報告書の草稿は、少額の認定された暗号通貨を保有・取引することを制限するものではないとしていますが、どの通貨が認定されるかは未だ不透明です。
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  • 韓国の金融当局は、ICOの禁止を継続する方針を明らかにしました。調査によって、いくつかのプロジェクトがICOをシンガポール等で行いながらも韓国国民に売っていたり、情報開示が不適切であったりしたことが理由となっています。
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ビジネス・事業領域

  • 世界的な金融機関であるFidelityは、3月にBitcoinのカストディサービスを開始すると発表しました。Fidelityは2018年10月に機関投資家向けの暗号通貨取引所をローンチする予定だと明らかにしており、今後も積極的にブロックチェーン領域への投資を行っていくと見られています。
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  • がんの免疫に関する事業を行っているヘルスケア企業であるAgenusは、100万ドルをセキュリティトークン・オファリング(STO)によって調達しようとしています。販売は適格投資家向けで、成功すればセキュリティトークン取引所のtZEROに次ぐ規模のSTOとなります。
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  • ブロックチェーンを利用した不動産プラットフォームであるRealblocksは、310万ドルの資金調達を行いました。不動産証券をトークン化しグローバルに販売できるようなプラットフォームを目指すとのことです。
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  • IBMがアメリカの大手保険会社であるAetnaと提携し、医療・保険業界向けのブロックチェーンシステム開発を進めていくことを発表しました。ディレクトリ管理だけでなく、保険料の請求処理と支払いを合理化していくとのことです。
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  • 匿名性を重視した暗号通貨ウォレットであるWasabiは、大きな金額のBitcoin取引でもミキシングが可能となったと発表しました。従来は0.1BTC単位の取引でのみミキシングができず、大きな取引のときに時間がかかることが問題となっていました。今後、Confidential Transactionを応用することで、量の異なるトランザクションでもミキシングが可能になるだろうとのことです。
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  • ファイル共有サービスのBitTorrentがBinance Launchpadを利用したICOで資金調達を行いました。トークンはTronチェーンで発行され、410万ドル相当が18分で完売したとのことです。
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  • 半導体大手のAMD社は、2018年の決算を発表しました。2018年通期の収益は過去7年で最高となりましたが、2019年1Qはマイニング用GPUの需要減少により減益となる見込みです。
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  • 富士通は、ブロックチェーンを利用して電力を必要とする企業間で余剰電力を直接取引できるシステムを開発したと発表しました。従来の電力調整システムと比較して、調整成功率が4割上昇したとのことです。
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  • 世界的な銀行間決済ネットワークのSWIFTは、R3 cordaを導入した実験を行うことを明らかにしました。API連携などによって、従来のシステムとブロックチェーン上の両方で決済が行えるようになるとのことです。
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  • Chainalysisのレポートで、暗号通貨のハッキングは主に2つの大きなハッカーグループによって行われていることが分かりました。1つのグループは金銭的な目的にフォーカスしていますが、もう一方は少なくとも部分的には金銭以外の目的によってハッキングを行っているとのことです。
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プロトコル領域

  • Ethereum上でBitcoinにペッグしたERC-20トークンであるWBTCがローンチしました。WBTCには、カストディ大手のBitGoやDEXのKyber Network、Republic Protocolなどが関わっています。BTCをカストディアンのBitGoが預かり、同量のWBTCを放出する仕組みとなっています。
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  • ブロックチェーンの相互運用性プロトコルプロジェクトであるPolkadotは、6000万ドルの資金調達をトークンセールによって行うことを発表しました。2017年に145万ドルを調達してから2度めの資金調達となります。公式なローンチは2019年のQ3になるとの見込みです。
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  • NEM財団は、経費削減のため150人のリストラを行うことを明らかにしました。主にマーケティングに携わる人材の削減とされていますが、XEMの未来を不安視する声も出ています。
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  • BitcoincashからフォークしたBSVに誰でも好きなファイルをアップロードできると発表された後、ゲームのROMなど様々なファイルのアップロードが行われています。違法なコンテンツなどが今後アップロードされて永久保存されてしまう恐れもあり、反感の声も聞かれます。
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この記事を書いたライター GincoMagazine編集部
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