金融機関様での講演#1「仮想通貨・ブロックチェーンをどう理解すればいいのか?」|EventReport
金融機関様の社内勉強会に弊社COOの房安が登壇いたしました
先日、とある金融機関様の社内勉強会に弊社COOの房安が招待いただき、「仮想通貨・ブロックチェーンとは何なのか?」「正しく取り扱う方法は何か?」について講演を行いました。
この記事では、その内容の前半「仮想通貨・ブロックチェーンをどう理解すればいいのか?」の内容をご紹介したいと思います。
第二回「仮想通貨をどうやって管理すればいいのか?」はこちらからお読みいただけます。
仮想通貨・ブロックチェーンとはなんなのか?(勉強会の内容を抜粋)
超・入門編
全く仮想通貨のことを知らない人に「仮想通貨ってなんなの?」と聞かれることがありますが、僕がよく使うのは「世界中で使える(ようになるかもしれない)管理者不在のお金(のようなもの)」という表現です。
このとき重要なのは「管理者がいないこと」で、Suicaなどの電子マネーは管理者がいることで価値を担保していますが、その反面、利用できる範囲が管理者の影響範囲によって限られています。
Bitcoinは誰にも管理されていない、インターネット上のアプリケーションなので「使ってもいいよ」という人に対しては、世界中どこでも使えます。
管理者の問題ではなく、送り手と受け手の問題ということですね。
また、「ブロックチェーンとは?」という質問については、ひとまず「仮想通貨を動かすための基盤となっている仕組みやシステムの総称」と伝えています。
ビットコイン自体はインターネット上で公開されているソースコードで動く台帳アプリケーションで、「Github」というプログラマ用のSNSで確認することができます。
https://github.com/bitcoin/bitcoin
共通の台帳をみんなで同じルールで使う上で、基盤となっているのがブロックチェーンという技術なのです。
もう少し詳しく、技術的に解説すると?
ビットコインは、
1.同意している二者が直接取引を行う際に
2.信頼できる第三者を必要とせず
3.トラストの代わりに暗号的証明を利用する
4.電子支払いシステムである
と説明することができます。
参照:Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System
実は、ビットコインの発案者であるSatoshi Nakamotoの論文には「CryptoCurrency」という言葉は一切使われていません。
そもそもビットコインは通貨システムではなく支払いシステムである、という点で大きな誤解があるために、バブルが起きたり、悲惨なハッキングが発生しているように思います。
ビットコインの理念である「トラストレス」という考え方は「人の手で信用を作るのではなく、暗号的証明によって信用を作り、価値の交換を気軽にできるようにしよう」という仕組みであって、法定通貨と交換して投機を行う商品としかみられていない現状とは開きがあります。
また、ブロックチェーンを一言で説明するなら「台帳機能が備わった結果整合な分散データベースの一種」となります。
一般的な分散型データベースの場合は、負荷や処理を分散させるために構築しています。これは処理速度を向上させることが主な目的ですが、ブロックチェーンは決済処理が全く速くありません。
遅くてもいいから、「AさんがBさんにXを送った」という事実を絶対に間違えないように作られたデータベースなんです。
絶対に間違いが起きないようにするために、「何かを信用して間違いがないかを確認させる」こと自体を排除しているのです。
さらに踏み込んで、仮想通貨・ブロックチェーンを説明すると?
仮想通貨は「分散型アプリケーションが普及した経済圏での新しいアセットクラス」と言ってもいいのかもしれません。
極論、Satoshi Nakamotoの論文では、現在のような法定通貨との交換や投資は見据えられておらず、分散型アプリの代表例として、支払いアプリケーションとしてのビットコインが提案されています。そもそもオンチェーンでなければ、機能しないものだと割り切って考える方が正しくビットコインを理解できるかもしれません。
今後、ブロックチェーンの特徴を利用したアプリケーションがどんどん出現してくると、仮想通貨が何のために作られたのかが、より明確になってくるはずです。
また、ブロックチェーンが結果整合にこだわるのは「不確実性を排除すること」を目的としているからです。
例えば、見ず知らずの誰かが突然「俺、銀行なんだ」と言い出してもお金を預けることはしませんよね。また、商品のやり取りを行うのに2chの掲示板ではなくフリマアプリを使うのも、第三者を間に挟むことで不確実性を排除しているわけです。
価値交換を行う上で重要なのは「それが確実に行われるかどうか」ですから、不確実性を排除する仕組みであるブロックチェーンが発明されたことで、「信用できる第三者」を介さずに世界中の誰とでも価値交換を行えるようになりつつある、というのが今起こっている状況です。
既存の金融機関などのトラスト機関なしで取引を行うプラットフォームやサービスがいま無数に生まれつつあるのは、このブロックチェーンの特性があってのことなのです。
登壇者紹介
房安陽平
株式会社Ginco COO
URL:https://ginco.io/
神戸大学大学院にて音声認識と自然言語処理などコンピュータサイエンスを専攻後、ブロックチェーンの技術開発会社にてUIUXを担当。その後はスマホのおサイフサービス「LINE Pay」の事業戦略を担当し、アライアンスやサービスグロースに携わる。現在は株式会社GincoのCOOを務める。公式ウォレットアプリケーション「Ginco」のプロダクトマネージャー。
GincoMagazineでは、ブロックチェーンを活用したサービス・アプリケーションに関連するコラムと、Gincoウォレットに関連するコミュニケーションを担当する。