何をどう始めればいい?マイニングの種類と参加までの流れ|Ginco Mining特集
はじめに
マイニング特集第1回では、仮想通貨マイニングとは何か、なぜ収益を生むことができるのかについて解説しました。今回は、現在行われているマイニング手法の特徴と、それらに参加するための方法について説明していきます。
マイニングは今や「チーム戦」が基本
マイニングにはソロマイニングとプールマイニングの2つの類型があります。さらに、自分ではマシンを持たずマイナーに出資する形のクラウドマイニングという形でも参加が可能です。
ビットコインが発明された初期には、個人がノートパソコンでマイニングに参加できるような時代もありましたが、現代のマイニングはほとんどが「チーム戦」として行われています。
この変遷とそれぞれの違いを大まかに理解し、自分がどのようにマイニングに参加するかのイメージを掴んでいきましょう。
一人で運を天に任せるソロマイニング
ソロマイニングとは、名前の通り「自分ひとりで行う」マイニングです。ビットコインが生まれた2009年から2011年頃までの間、多くのマイナーは各自でハードウェアを購入し、誰と協力することもなくマイニングを行っていました。
多くの人がイメージする「仮想通貨が運良く掘り当てられる”マイニング”」が、このソロマイニングにあたります。しかし、実は現在、ソロマイニングで利益を生むことは困難になっています。なぜならマイニング競争が激しくなる中で、個人がマイニングに成功する確率は非常に小さくなっているからです。
ソロマイニングの特徴
機器の購入や環境構築などの初期費用と時間がかかる
ソロマイニングを行うためには、マイニングに必要な機器と設備を一式揃える必要があります。
具体的には
- 大量のマイニングマシン
- それらを収容できる巨大なマシン稼働施設
- 電源やインターネット回線などのインフラ
- ファンなどの冷却用機器
- マシンと設備の維持・運用を行うスタッフ
これらを最低限用意し、設定や接続を適切に行って環境を整えなければなりません。
これには多額の初期投資と時間および専門知識が必要となります。
少額の初期投資では利益を生むことが難しい
マイニング機器の中には安価なものもありますが、少額で始めるほど初期投資を回収するまでの時間が長くなります。
なぜなら、運悪くマイニングに成功することができなかった場合の報酬は0となるからです。たとえば、「Antminer S9」というBitcoinマイニングで一般に使用されているハードウェアを1台稼働させた場合、運良くブロックの生成に成功するまで平均69年もの時間がかかります。
2018年現在、一度成功すれば12.5BTC(1BTC=60万円換算で750万円ほど)が手に入りますが、それがいつになるかは分かりません。より採掘難易度の低いアルトコインではマイニングに成功する確率も高くなりますが、その分通貨価格が安いため報酬も少なくなります。
現在ソロマイニングで収益をあげるためには数百億円単位の初期投資が必要で、中小規模の事業者や個人にとっては非現実的と言えます。
そこで考案されたのが「プールマイニング」と呼ばれる方法です。
機械の計算力をチームに提供して対価を得る「プールマイニング」
プールマイニングとは、プールと呼ばれる一種のチームに参加することで、安定した収入を得られるようにすることです。
プールのメンバーは自分のマシンパワーを提供し、運営者はそのマシンパワーによってマイニングを行い、成功報酬を貢献度に応じて分配します。資産(マシン)を貸し出して報酬を得るという点では不動産などのモデルに近いといえるでしょう。
これによって、ブロックを生成することができれば多額の報酬を得られるけれども、失敗が続いた場合には一切報酬を得ることができないという「all or nothing」 の側面を緩和し、安定した継続収入を見込めるようになっています。
主要な通貨では、ほとんどのマイナーがプールマイニングを行っている現状があります。
プールマイニングのメリット
プールマイニングのメリットとして、以下の3点が挙げられます。
現実的な初期投資額で始められる
ソロマイニングで既存のマイナーに対抗するためには数百億単位の投資が必要になりますが、これはほとんど不可能といえるでしょう。マイニングプールに参加すれば、数十万円ほどの金額から始めることができます。
安定した収益が見込める
これはプールマイニングの最大の利点です。上で述べたように、複数人でコミュニティを作って協力し、報酬を分け合うことでリスクを大きく分散させることができます。
マシンを稼働させるだけでいい
また、ソロマイニングではブロックチェーン上の全ての情報をダウンロードした「フルノード」を自分で持つ必要があります。フルノードはデータサイズが大きく、運用に負担がかかります。
一方、プールマイニングでは、基本的には運営者がフルノードを管理しているため参加者各自がフルノードを立てる必要がありません。単純に「マシンを準備して計算力を貸し出す」というかたちで始めることができるのもプールマイニングの特徴です。
プールマイニングのデメリット
一方で、プールマイニングにはプールサーバの運営者に数%の手数料を支払う必要があるため、純粋な報酬期待値はソロマイニングよりも少なくなります。また、プールによって採掘できる通貨が異なるため、プール選択の手間がかかります。
マイニングを始めるための知識や初期費用・時間が必要となる点はソロマイニングと同様ですが、これらの初期準備は自分で行うだけでなく事業者に委託することも可能です。
マイニングプールの比較検討基準
プールを選択する際には、「プールのシェア」「採掘可能な通貨」「手数料」「収益配分方式」などの項目を比較検討することが大切です。
プールのシェアが低いと、プール全体として報酬を得られる機会が少なくなるため、安定した収入につながりません。また採掘できる通貨はプールによって異なるため、欲しい通貨がある場合は対応しているプールを選択する必要があります。
収益の配分方式には代表的なものとして「PPLNS(Pay Per Last N Share)」と「PPS(Pay Per Share)」と呼ばれる2種類があります。「PPS」ではプール全体がマイニングに成功しない場合でも報酬を受け取ることができるため、収入は安定しますが手数料が高くなる傾向にあります。プールによって、片方にのみ対応しているプールと、両者から自分で選択できるプールがあります。
プールマイニングへ参加する流れ
どのマイニングプールに参加する場合でも、以下のような手順を踏むことになります。
①下調べ
②マシンの購入
③マシンの稼働設備の準備
④マイニング用ソフトウェアのインストール
⑤マイニングプールへの参加
※④・⑤の具体的な手順は購入したマシンや参加するプールによって異なります。
▼代表的なマイニングプール
資金を提供して採掘通貨の受け取り権を買う「クラウドマイニング」
知識や初期のリソースが不要なマイニングとして「クラウドマイニング」という方法も存在します。これは、既にマイニング用の設備を持っている事業者に費用を支払うことで、その分の利益配当を受け取ることができるといったものです。
具体的には、クラウドマイニングを行っている企業から計算力(ハッシュパワー)を購入し、企業が全体で得たマイニング報酬から自らのハッシュパワーに応じた利益を得るという形になります。
ハッシュパワーとは、1秒間に何回の計算を行えるかという機械の計算力を示す値です。ハッシュと計算力に関しては、第1回の記事をご覧ください。
▼参考記事:仮想通貨マイニングとは?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?
クラウドマイニングでは、企業への投資に近い形で手軽にマイニングを行うことができます。設備や機器の運営・管理を企業に全て任せる代わりに、報酬からマージンが引かれるといった形になります。
クラウドマイニングのメリット
クラウドマイニングのメリットとしては以下の点が挙げられます。
少額から始められる
ソロマイニングやプールマイニングを行おうとすると、初期費用としてハードウェア代、ハードウェアの輸送費と輸入のための関税、施設・環境構築費がかかります。
クラウドマイニングではこれらを参加者全員で分け合っているため、1万円程度の少額からマイニングに投資することが可能です。
マシンなしですぐに始められる
ASICなどのマイニング専用マシンは多くが中国で製造されており、購入してから手元に届くまで輸送時間がかかります。
クラウドマイニングでは既に機器を稼働しているところに投資を行うので、企業のホームページから申し込みをしてすぐにでも始めることができます。
居住地にとらわれずマイニングに参加できる
日本では他国と比較して電気代が高いため、マイニングで収益を上げることが難しくなっています。
しかし、クラウドマイニング企業は比較的電気代の安価な土地にデータセンターを持っていることが多く、日本でマイニングを行うよりも効率が良いというメリットもあります。
クラウドマイニングのデメリット
一方、クラウドマイニングのデメリットとしては次の点があります。
得られる通貨が制限される
企業がどの通貨をマイニングしているかによって得られる通貨が異なるため、特に欲しい通貨がある場合は、その通貨をマイニングしている企業を探す必要があります。
企業を信頼しなければならない
投資額を回収するまでの期間に、クラウドマイニング企業が倒産するリスクや、あるいは支払った金銭を持ち逃げされるリスクを負わなければなりません。そのため、信頼の置ける企業を選ぶことが重要となってきます。
少額から始められる代わりに獲得報酬が少ない
クラウドマイニングでは少額の初期投資から始められる点が魅力ですが、その分企業に支払うマージンが多くなるため、得られる報酬額が低くなります。必ずしも利益が出るとは限らないため、事前にしっかりと利益率を計算する必要があります。
クラウドマイニングの参加方法
クラウドマイニングに参加する場合は、以下の手順を踏むことになります。
①下調べ
②マイニングサービス選び
③受取用ウォレットの作成
④クラウドマイニングへの出資
※④の具体的な手順は購入したマシンや参加するサービスによって異なります。
参加はいたって簡単で、クラウドマイニングを提供している事業者のウェブサイトからハッシュパワーを購入するだけです。多くの場合その日のうちに報酬が入り始めます。
まとめ
ここまで、ソロマイニング・プールマイニング・クラウドマイニングについてそれぞれ解説してきました。まとめると、以下の表のようになります。
現在ほとんどのマイナーはマイニングプールに参加しており、マイナーに投資という形でクラウドマイニングを行うこともできるようになっています。
自分の持っている資源を考慮しながら、参加方法を選択していくことが大切です。
Gincoでは、マイニングに関するご相談からマシンの購入・運用・修理までサポートしております。「どの方法がいいか悩んでいる」「マイニングについてもっと詳しく知りたい」という方は、下記からお問い合わせください。
またいずれの方法でも、マイニングを行うためには仮想通貨管理のためのウォレットを用意する必要があります。Gincoでは、資産を守るための鍵をお客様ご自身に管理していただく、安心で安全なウォレットを提供しています。
次回は、マイニングの基本的な収益算定方法について解説し、費用を抑えて高い利益を得るためにどのような点に注意すればいいかを見ていきます。
お問い合わせ先:mining@ginco.io
Ginco Mining特集
第0回:マイニング事業者だけが知っている「マイニング投資」のウソ・ホント
第1回:仮想通貨マイニングとは?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?
第2回:何をどう始めればいい?マイニングの種類と参加までの流れ
第3回:どう収益を上げればいい?マイニングの収益構造からポイントを理解する
第4回:どのマシンを買えばいい?マイニングマシンの特徴と選び方
第5回:マイニングの落とし穴!?失敗しないためのコツとは