どう収益を上げればいい?マイニングの収益構造からポイントを理解する|Ginco Mining特集
はじめに
マイニングで利益を出すためには、どのようなマシンや通貨を選択すればよいのでしょうか。これを理解するには、そもそもマイニングがどういった収益モデルになっているかを知る必要があります。今回はマイニングの収益を計算する方法と、費用を抑えて収益を上げるために注意すべきポイントについて解説していきます。
マイニングにおける収益算定方程式
下に図示したものが、マイニング事業全体で収益を算定する公式になります。
この公式は、現在最も収益効率が高いと考えられる「マイニングプールに参加して、自社でマイニングを実施する」ケースにおける、ベネフィットとコストをまとめたものです。
難しそうに見えますが、実は仕組みはシンプルで、不動産などほかの投資商品と比較しても収益計算がしやすくなっています。報酬から順に見ていきましょう。
利益は通貨価格と自分の持つ計算力によって決定される
採掘報酬=プールが獲得する仮想通貨 × 自分のプール貢献度 × (1ー手数料率)
利益を計算するためには、仮想通貨の価格に加えて、全体で採掘された通貨のうち自分の取り分がどのくらいになるかを考える必要があります。これは基本的に自分の持つ計算力(ハッシュレート)の大きさで決まるため、大きな報酬を得るためには性能の良いマシンを多く動かし、高い計算力を所持することが重要です。
どのような仕組みになっているのか、詳細に見ていきましょう。
ほとんどの通貨では、単位あたりの時間ごとに採掘される通貨の量が決まっています。たとえば現在、Bitcoinではおよそ10分ごとに12.5BTC、Litecoinではおよそ2.5分ごとに25LTC の報酬が生じています。
自分の所属するプールがマイニングの勝者となり、この報酬を得ることに成功すると、貢献度に応じて配当がもらえます。(ただしシステムはプールによって異なります。プールの仕組みや詳細についてはマイニング特集第2回を御覧ください。)したがって、マイニングで報酬を得られる確率は、マイニング参加者全体の計算力のうち自分が所属するプールが持っている計算力の割合で決まります。
仮にプールがネットワーク全体の計算力の10分の1を所持しているとするならば、平均して10回に1回の確率で報酬が貰えることになります。
プールへの貢献度は、プール全体の計算力のうち自分の持つ計算力の割合で決まります。したがって、参加者の少ないプールほど自分がプールから獲得できる配分が増えますが、その分、マイニング自体の成功確率は下がりプール全体の獲得量は減ることになります。
また、プールに支払う手数料は事業者毎に異なりますが、だいたい報酬額の数%となります。例えば手数料率が5%の場合、自分が獲得できる仮想通貨は本来の獲得量の95%です。
まとめると、プールマイニングにおける利益の計算方法は、「参加するプールが得た報酬」に「プールにおける自分の計算力の割合」を掛け、さらに「プール運営者に支払う手数料」を引いたものになります。
競争の激しさを表すネットワーク全体の「ハッシュレート」
プ ールへの貢献度に直結するマシンの計算力は、1秒間に何回の計算が行えるかを示す「ハッシュレート」と呼ばれる数値で表されます。参加者全体のハッシュレート合計が大きいほどマイニング競争が激しいことを示すため、これには常に気を配る必要があります。
マイナーの増加やマシンの性能向上により、Bitcoinではこの1年でネットワーク全体のハッシュレートが急上昇し約5倍になっています。同じマシンをずっと稼働させていた場合、報酬は1年間で5分の1になっているということです。
ハッシュレートは、「ディフィカルティ」と呼ばれる値から算出することもできます。これは解かなければならない計算問題の難しさを示す値で、誰にでも公開されています。
問題の難易度が一定だと、マイナーの増加や計算効率の上昇があった場合に、計算を解くまでにかかる時間が短縮され、ブロック生成の間隔が短くなってしまいます。これを防ぎ、通貨の供給ペースが一定になるように、ディフィカルティが調整されています。
Bitcoinではおよそ2,016ブロック(2週間)に1度、BitcoinCashでは毎ブロックでディフィカルティの調整が行われています。
プールとしての採掘成功率は、ネットワーク全体においてそのプールが占めているハッシュレートの割合となります。たとえば2018年11月現在、Bitcoinのプール別のハッシュレート割合は以下のグラフのようになっています。
1位のBTC.comはおよそ20%のハッシュレートを持っており、これはBTC.comプールが約20%の確率でマイニングに成功することを示しています。そして、このプール全体のハッシュレートのうち、自分がどれだけのハッシュレートを持っているかによって報酬が決まります。
自分の供給するハッシュレートは、マシンのハッシュパワーにマシンの台数を掛けたものになります。13TH/sのマシンを100台保有している場合は、自分の持つハッシュレートは13×100=1300TH/sです。
大まかな見積もり方法
Bitcoinマイニングを例に、具体的な数字を当てはめて計算してみましょう。2018年11月半ばのBitcoinネットワーク全体のハッシュレートは約52,000,000TH/sです。13TH/sのマシンを100台持ち、10時間稼働させるとしましょう。
プールのハッシュレートを5,200,000TH/s、つまり10%のシェアを占めているプールに所属し手数料は5%とします。このとき、計算式は次のようになります。
Bitcoinでは10分に一度12.5BTCが採掘されるため、10時間の間にネットワーク全体で採掘されるBitcoinは、12.5BTC×600分÷10分=750BTCです。プールは10%の確率でこの報酬を得るので、プールが平均して得られる報酬の期待値は75BTCとなります。
自分のプールへの貢献度は、自分のハッシュレート÷プールのハッシュレートとなるので、1,300÷5,200,000=1/4,000となります。つまり、75BTCの4,000分の1が手に入るので、0.01875BTCが得られる報酬の期待値となります。
ただし、ここから5%が手数料として引かれるので、0.01875×0.95=0.0178125BTCが自分の最終的な収入の見込みとなります。
(お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、最終的にはプールのハッシュレートは約分されて式から消えます。そのため、自分のハッシュレートとネットワーク全体のハッシュレートが分かれば、簡単に収入を概算することもできます。)
尚、このシミュレーションで算出できるのは、獲得できる仮想通貨の総量であって、日本円での事業収益ではありません。これは、獲得する仮想通貨の相場変動が大きく、金額が状況に応じて大きく変化してしまうからです。
費用を抑える2つの方法
費用は、初期費用とランニングコストに分けることができます。
初期費用としては、マイニング機器の購入費と輸送費、設備を建設する費用が必要となります。 ランニングコストには、施設の運営費、メンテナンス費、電気代が含まれます。
▼初期費用
- マシン代
- マシン輸送費
- 施工費
▼ランニングコスト
- 施設運営費(家賃・人件費・通信費用)
- 電気料金(マシン稼働用・施設冷却用)
このうち収益に最も大きく影響するのは、原材料費にあたる電気代です。よって、利益を出すためには電気代をなるべく抑えてマイニングすることが不可欠となってきます。
電気代にはマシンを動かすために必要な電気代と、電力消費で発生する熱による不具合を防ぐための冷却費用が含まれます。したがって「電気代が安く」「寒冷な」場所で、「エネルギー効率の良いマシンを運用すること」が重要となります。
電気代は国によって大きく異なり、「どの国でマイニングするか」が最も利益に大きく影響を及ぼす要素だと言っても過言ではありません。
日本は世界の中でも電気料金が高く、マイニングの利益率が良いとは言えません。そのためGincoではモンゴルでマイニング事業を行っています。モンゴルは年間を通して気温も低く、またマイニングが合法なためマイニングに適した土地といえます。
節税効果のイニシャルベネフィット
2019年3月までであれば、マシン代や施設の施工費などの初期投資費用については、中小企業や個人事業主の方の場合「中小企業経営強化税制」等の制度を用いることで一括償却することも可能です。
※日本国内で運用する場合に限られます。また申請が必ず通るとは限らないため税理士と相談する必要があり、ご連絡をいただければ弊社から税理士をご紹介させていただくことも可能です。
まとめ
ここまでマイニングの収益構造について紹介してきました。マイニングでは、
- 通貨価格とネットワーク全体のハッシュレートと自分のハッシュレートの比率によって収益が決まる
- 費用を抑えるためには電気代が安く、寒冷な地域でマイニングをすることが重要
- 制度活用によって初期費用を一括償却することも可能
ということがご理解いただければ幸いです。
ご関心のある方、より詳細に知りたい方はこちらからお問い合わせください。
お問い合わせ先:mining@ginco.io
Ginco Mining特集
第0回:マイニング事業者だけが知っている「マイニング投資」のウソ・ホント
第1回:仮想通貨マイニングとは?なぜ、どのように価値を生み出しているのか?
第2回:何をどう始めればいい?マイニングの種類と参加までの流れ
第3回:どう収益を上げればいい?マイニングの収益構造からポイントを理解する
第4回:どのマシンを買えばいい?マイニングマシンの特徴と選び方
第5回:マイニングの落とし穴!?失敗しないためのコツとは